労基署からの改善基準告示をきっかけに労務管理を一気に推進。運送会社の経営改善努力に迫る
大阪にある、株式会社朋友。FOR YOU(あなたのために)を掛け合わせた素敵な社名を持つ、大変明るい職場です。朋友社は、2023年問題を前に労働基準監督署から改善基準告示を受けたことをきっかけに労務管理意識を高め、業務管理ツールとしてロジックスを導入くださいました。今回は、取締役社長を務める冨山正治様と品質管理課品質管理課長を務める長島和男様に、ロジックス導入に至った経緯や、導入後の体感などを伺いました。
導入企業の特徴(2023年取材時):
社員数 120名/2事業所/ 業態: 関西〜関東の長距離輸送・地場の輸送・特別積合せ貨物運送
若い人が来たがるような会社へ。 1 年でグッと変わった組織構成
──事業の特徴を教えていただけますか。
冨山様(以下、敬称略):
弊社の仕事は、ヤマト運輸・佐川急便の協力会社としての仕事や、鈴与カーゴネット・オフィス家具のオカムラなどを荷主とする大手メーカーの仕事が主でして、荷物の中身も、わりと一般的な荷物を扱っています。車両は 20tトレーラーと大型がメインで、従業員の平均年齢は40歳前後と、わりかし若い方ではないでしょうか。僕は43ですが、僕がちょうど真ん中で、80名の内50名は僕より上、30名がそれより若い子で すね。
──活気がありそうな雰囲気ですね。採用面で、意図的に心がけていらっしゃることなどあるのでしょうか?
冨山:
2年前から、10年先を見たときに、将来的にドライバーを十分確保するのが難しくなるかもと思い、どうしたら若年層や女性、つまり今いない存在に物流業界に来てもらえるかを考え、そのためにまずは事務方で女性を増やしていこうと決めました。以前は女性が 1 人しかいなかったのですが、この1年で事務方の半分が女性になるまでに増やすことができました。それから、会社を見ていると、ドライバーも若い子も、やっぱりある程度同年齢で仲良くなって固まるんだなということを感じます。そこで、若い子が働きやすい職場になるようにしよう、少しでも若い子に興味を持ってもらえる会社にしようと、若い層の採用にも力を入れました。結果として、居心地よく働いてくれているようで、ほとんどが知人友人の紹介で新しい採用が決まっていきます。
半日がかりの労務集計作業が、 わずか10分に!原価計算も容易に
──ロジックスを導入されたいとお考えに なった理由や、お持ちになっていた課題感について、教えていただけますか。
冨山:
23年に、労基から労働時間を管理するよう是正勧告を受けたことがありました。そこから管理の方法として、事務方の仕 事の一部をアウトソーシングするか、あるいはクラウドを活用して社内で効率化していくかの選択肢で思案していました。これまでは、昔ながらの管理法で、逐一計算して…… としていたのですが、何かいい方法がないだろうかと。ただ、アウトソースといっても心当たりがあるわけでもなかったところ、現場の労務担当者から「これを使ったらどうか」という声があり、説明に来てもらったら、ちょうど欲していたものだったので、導入を決めました。
──ロジックスを導入してみての、使い勝手 や体感はいかがでしょうか。
長島:
最初は私が担当しましたが、だいたい操作感がわかったところで、すぐに別の社員へ引き渡しました。内容も簡単にできていて、任せても10分くらいで作業が終わります。内容としては労務管理なので、デジタコのデータをエクセルに手打ちで転記をする作業が約 100名分あるわけですが、これまでは毎日3時間ほどかかっていたのが、ロジックスを導入してからは、デジタコのデータを読み込むことが可能なので、調整作業も含めて10分もあれば終わるようになりました。「調整」というのは、例えば重複している時間などは他のものを参照しながら整合性をとっていくという処理ですね。
冨山:
パソコンの使い方が上手い社員の方がそういうのは得意なので、これまでは 調整業務の仕方にも個人差があったのですが、ロジックスを導入したことで、そこが自然と標準化できたのもよかったです。誰がやっても同じことができ、業務が 属人化しないというのは、経営者としては安心です。
現在は、まずは労務管理の点だけ でロジックスを活用していますが、今後、配 車・給与計算・車両管理と活用範囲を広げ、 現在4箇所で別のツールを使ってやっている ことをすべてロジックスでできるようにするのが最終的なゴールだと思っています。 これまでは何かツールを入れて効率化しようとすると、何かが改善されるのだけど、何かが抜けてしまったりどこかが不便になったりしてその繰り返しだったので、「ひとつで網羅的に処理ができる」というアピールはすごく強いです。
ロジックスの画面上では、 燃料代や高速代も毎日見ることができて、日単位で原価を見れることもすごくいいですね。
買い切りではなく、 業務のニーズとともに日々進化する 「クラウド」 の良さ
──現場により近い、長島さんはいかがでしょうか。
長島:
直して欲しいところに対して、非常に対応が早いと感じます。例えば、通常のフォーマットには収まりきらないようなメモを追記できるようにする、といったことです。通常トラックに運転手は一人で、デジタコの記録は一人分しかつかず、それを読み込むロジックスも、本来一人分しか記録はされません。ですが、トラックに先輩が同乗している場合などは、実際に運転しているドライバーと同行者の2名の勤怠記録が存在します。そういう状況下で、管理者側で柔軟に反映ができ、「この区間でこのドライバーが運行していた」というデジタコには反映されない状況をロジックスの備考欄にいれておけるので、大変便利です。
そうできませんかとお盆前に頼んだら、お盆の間にはもうできるようになっていて、驚きました。デジタコは、完成している製品なので、これ以上変えようがないと感じますが、ロジックスはどんどん進化していく。はっきりと頼んでいないことも、使い勝手が良くなるように直してくれていたり、この数ヶ月の間でも様々な改良を感じます。
──それは弊社のプロダクトチームが喜ぶと思います。ところで、なぜ長島さんを DX 推進担当に抜擢されたのでしょうか?
冨山:
彼は 7年ほど前に入社して、運行管理や点呼を担当し、管理畑の経験を積んできました。元自衛隊で、芯が強くてやり抜く力があり、年齢も自分のほうが下ですが、縁の下の力持ちな存在です。できれば、長島が引退できるくらいの状況にできるよう、AIや機械にできることはそうやって新しいツールへ引き継ぎ、彼は新しいことに取り組んでもらいたいと思っています。
仕事の構成を見直し、 苦境でも利益率を維持する経営努力 を重ねて
──2024 年問題については、どう準備をされていらっしゃいますか?
冨山:
今年から色々と取り組みをしています。まずは、時間が超過する仕事を減らし、仕事の入れ替えを推進しました。
──仕事が長くなる荷主などがいるというこ とでしょうか?
そうですね、この荷主さんは、というのはありますね。
──その辺りは、どうやって判断されるのでしょうか。
面倒ですが、日報見ながら紙に書き出して。 人によって、仕事が一番早く終わる子、ゆっくり目の子に真ん中の子と幅がありますが、 平均的な数字を出して、その数字を信じて考えました。自分もドライバーだったので、縮め方の感覚はあって、ちょこちょこドライバー に聞いたりもしながら。
──付き合う荷主の方も変えられたのでしょ うか?
そういう決断もありました。取引先は、「〇〇 さん、ありき」になってしまうと、頼ってしまうと、楽になって抜けられない。一つに依存するとよくなくて、「断ることで得られるもの」があると信じています。
──なぜその改革から着手されたのでしょう か?
今は燃料費高騰のなかで、長距離を走れば 走るほど、きつくなる状態です。単価を落としても、走る距離を短くすることを選び、結果として利益率はキープできています。
──社員の方の反応などはいかがでしょうか。
ドライバーからは、当初不安の声もありました。 僕自身もドライバーだったので、理解できます。でも、そこは信じてついてこられるか、 どうか。残っている子のために経営者として何ができるかです。2024年になり、働ける時間が減って、その分が給料にダイレクトに響くことを一番避けないといけなくて、ゼロにできなくとも、いかにその影響を調節できるか。ここからは、運賃交渉にも着手していこうと思ってい ます。
──今後、アセンドおよびロジックスに期待することなどはございますか。
今の気持ちのまま、伸びていってほしいなと 思います。導入プロジェクトの最初、社長の日下さんが来た時は、正直にいうと、最初は 「ほんとに運送業界、わかってるの?」という感じだったのですが(笑)、会社として目指すところがある姿を感じ、一緒にできたらなと思ってお付き合いを始めました。信念を持って事業をやられているのが好印象で、先日新聞で「物流業界を変える存在」として取り上げられているのを見たときも、「そこに頼 んどるよ、うち!」と嬉しくなりました。
会社が大きくなるといろんな変化が出てくると思いますが、今のまま発展していってほしいなと思います。それで、「2024年問題も、アセンド使ってたから、問題なくクリアできたよ!」と言いたいですね。
(取材・文 / 上原里菜)