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デジタル化は今後の運送会社の必須基盤。「見える化」がもたらす経営改善とは

創業60年になる株式会社大三ロジテックは、会社の利益に直接的に絡む受注・配車情報のタイムリーな見える化を進めるべく、1年半前に他社のクラウド型のサービスを導入しましたが、活用サービス終了に伴い、2023年に、システムの再選定に直面しました。しかし、そこからわずか2週間の移行期間で、受注・配車・請求・労務という多岐に渡る基幹業務をロジックスへ切り替えることを実現。神奈川トラック協会青年部会で委員長も務める有賀様に、デジタル化への想いや、サービス活用の体感を伺いました。

──会社の紹介をお願いいたします。

有賀様、以下敬称略)創業60年になる運送会社で、荷物は一般貨物(食品、飲料、家電、国際貨物、建設部材)と、業務用の複合機などの精密機器を運んでいます。売上構成は、70%が一般貨物・30%が精密機械で、一部代理店経由のものもありますが、メーカーからの直受けがほとんどです。お付き合いしている主要な荷主さんの数は、10社以上20社未満というところです。マッチングサービス経由のものも取り扱っているので、そういうものも数にいれると500〜600社にのぼりますが、継続的にお付き合いをしている荷主さんに限れば、10数社というところです。
 
──とてもバランスのいい構成に思えますが、意識してそうされているのでしょうか?
 
有賀)そうですね。運送業界って、とても倒産率が高いんです。コロナ禍以降、飲食と建設に次いで倒産するというデータがあって、一社に依存すると倒れるリスクになると、ここ数年、改めて認識を新たにしました。だからこそ、これまでの縁を大切にしつつ、荷主開拓も積極的にしていこうとしていて、こんな構成になっています。荷主のお客様から、お客様をご紹介いただくこともあります。

操作が「簡単」でないと、現場で活用されない

──ロジックスを導入してくださったきっかけを教えてください

有賀)弊社は、今の社長で2代目なのですが、前代から続く経営のモットーに、運送の一番の要は「配車」だということがあります。ただ、いつも情報は配車マンの頭の中にだけに存在し、それが前日に共有するというのが慣習で、周囲からは明日の予定以外が見えないことが悩みでした。今の社長になって、その「見える化」をしていこう、「誰でも、どこからでも見えるようにしよう」という方針が打ち出されたんです。でも、パソコンを触らない人に、それまで前日にホワイトボードに書き出す形でやっていたことを今日からパソコンで管理してとお願いするのは、難しい。慣習を変えるには、何よりも、その操作が本人にとって簡単なことが求められます。2年前に活用を始めた、他社のシステムは簡単で、そこが良かったんですね。でもせっかく慣れてきたところで、サービス終了になってしまって。いろんな会社さんのお話を伺いましたが、一番以前のシステムと操作性が近くて、移行がスムーズなものにしようと、ロジックスを選びました。

──実際に、使ってみてのご体感は、いかがでしょうか?

有賀)移行期間は、わずか二週間くらいで、スムーズに乗り換えることができました。最初は不慣れで少し混乱もありましたが、わからないことは丁寧に質問に回答してもらうことで、大きな問題は何もありませんでした。今は、配車係のアシストをする事務職や、私も使っているので、トータルで6名ほどが活用しています。最初は、兎にも角にも配車のデジタル状態をキープすることが命題でしたが、使っているうちに、「他の機能も使ってみよう」という話になり、請求機能や、労務管理機能も今では活用しています。うちは倉庫も事業としてやっているのですが、配送に関係しないような倉庫の請求書も、今ではロジックス上で管理しています。

請求機能との連動で、月末の1.5日に生まれた余力

──使用用途が拡大する背景には、どんな理由があったのでしょうか?
 
有賀)案件の登録から請求書まで連動ができ、業務の基幹システムを他社サービスで行うというのは、経営的にはリスクでもあると思っていて、少しためらいがあった部分でもあったんです。でも、連携できると自社のエクセルベースで請求を行うこととは全然違う楽さがあって。時間的にも月末の1.5日が浮く感じなのですが、業務の時間だけではなく、配車の段階からロジックスと連携させることで、確実に請求漏れがなくなるというメリットも大きいです。
 
有賀)運送会社が、何を元に請求書を出すかというと、誰かからの「報告」なわけですね。でも日報を書き忘れたり、配車を受けてもすぐに報告をしなかったりすることがあると、一つだけ、するっと漏れてしまったりもするものなのです。

例えば、輸送形態の一つで、パレット配送というのがありまして、それはパレットの上に荷物を乗せて運ぶ形なのですが、そのパレットは荷主所有のものなので、目的地に配送を完了した後にパレットを元の場所に運ぶと、それは別料金としてチャージすることができるのですね。でもドライバーは必ずしもそれを認識していないこともあるから、そのことを日報に書かなかったりすることもあるんですね。そういうことが、一ヶ月にどれくらいあるかというのは難しいです。そんなにかさんでいるわけではないけど、でもちらほらとあるにはあることをわかっていて、そういう「記録されない仕事」をなくしたい。仕事自体が記録されていなければ、請求が漏れていることにも気づけないわけなので。ロジックスは案件登録から一貫して打ち込んでいく形なので、それを活用して業務をしていると、「漏れているものがあるんじゃないか?」という心配がなくなったことも、ありがたいです。月末にまとめずとも、何かが終わるタイミングで請求してしまえばいいなどの柔軟性も生まれましたし、請求のダブル、トリプルチェックも不要になりました。

アセット効率の管理に、労務まで。デジタルの配車表という基盤が欠かせない理由

──ロジックスで一番評価いただいているところは、どのようなところでしょうか?
 
有賀)一番は、やはり配車表を紙からデジタルで継続できていることですね。なぜかというと、「紙」って、誰かの所有物になるんです。配ったり、持ち運んだりしますが、その情報が、「それを持っている個人」に止まってしまって、属人化してしまう。一方でデジタルになった情報は、サーバー上で「見える化」がされます。そこに、なんの回収の手間もかかりません。それが、業務効率化だけではなく、売上の拡大にもつながっていきます。たとえば、ホワイトボードを使っていた以前は、配車マン以外に予定が共有されるのは翌日の分だけでしたが、デジタルなら、受注した段階で配車の予定を入れておくことで、1週間先、1ヶ月先でも、会社の予定が「見える化」されます。そうなると、どのタイミングでどのトラックがどれくらい埋まっていて、どれくらい空いていて、ここに、もう一仕事入れられないか?この人今週は仕事が少なめだから、もっと取ってこれないか?そんな努力を、いろんな人ができるようになります。そうやって、人も車両も、回転の効率を良くしよう。そういう経営管理ができるようになります。だからこそ、デジタルの配車表という基盤を維持することが欠かせませんでした。

有賀)また、配車や請求だけでなく、労務状況も、ロジックスで「見える化」がされるようになりました。見えなければ管理のしようがありませんので、会社の現状がどこからでも「見える」というのは、本当に大事なことと感じています。

──運送業界の今については、どう思われますか?
 
有賀)業界全体として、まだまだ昭和の時代に止まっていると感じます。私はトラック協会の神奈川県の青年部会でも活動させていただいているのですが、弊社に限らず周りを見ていても、他業界から比べて考えが時代遅れだったり、人の高齢化が進んでいたり。たとえば、60歳といえば、他業界では定年間際な年齢ですが、この業界で60歳の配車マンは、「若い」と感じます。このまま変化を起こさないと、取り残されていってしまう状況という危機感は感じています。だからこそ、業務改善・業務効率化を精力的に模索し、機械やAIに代替させられるものはしていき、変化とともに頑張って存続できるようにする。その先頭に立って頑張りたいと思っています。