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全てのステークホルダーから信頼されるIRパーソンに【ASCEND Stories日下美里編】

アセンドで働く人たちの成長の軌跡を辿る「ASCEND Stories」。今回はコーポレート部マネージャーの日下美里です。

広報/IR・財務/経理に法務とコーポレートを広範にカバーし、社内から厚い信頼を寄せられる、日下美里。成長してきた過程やアセンドに転職してみての本音について、代表の日下瑞貴が聞きました。


強みは守備範囲の広さ

──自己紹介とキャリアの推移を教えてください。

広島県生まれで、父親が学校の先生で母親は専業主婦という家庭に育ちました。キャリアはIR中心に重ねてきてアセンドで三社目です。一社目は中古車ローンを提供するベンチャー企業だったのですが、入社2年目のときに会社がIPOし、IR(インベスター・リレーションズ)担当として部署の立ち上げを経験させてもらいました。二社目のSGホールディングス株式会社もIR室に所属し、そこを経ての現職となります。名字からも分かるように、代表の日下とは2020年に結婚しています。

──社内での美里さんの仕事というと、経理、法務、財務、IR、広報と仕事の幅がとても広いですが、今の幅広さはどのように形成されたのでしょうか。

1社目で経験したIR室が、他部署と分担するような決算発表準備や株主総会準備をほとんど担う状態だったことが大きいと思います。2社目に入って「そんなに分担するものなの」と気付くのですが。最終的に法律やルールに則った開示物になっているかを念入りにチェックするうちに、経理や法務の知識もある程度身に付いたと思います。

1社目が初めてのIRだったので何でもやるということが当たり前のことと捉えていました。IPO時に「誰もIRという仕事をやったことがありません」という状況下で抜擢をしてもらい、未経験のことを過度に恐れず、「まあ、やっていくうちに何とかなるだろう」みたいな耐性が身に付きました。12月にIPOをして、3月には決算が来るわけですが、上場企業の本決算ってやることが本当に多いのですね。決算用の書類一式を作りながら投資家周りをして、株主総会の準備も並行してと本当にハードな日々でしたが、とても鍛えられました。

1社目で海外IRも経験。その際寄ったタイの現地オフィスにて(左から2番目)

コミュニケーションと財務の二軸のIRパーソンを目指して

──そこから、なぜ2社目のSGホールディングス(以下、「SGHD」)に転職をされたのですか?

一社目での仕事はとても充実していたのですが、第一子の産休育休を挟んで復職し、また同じ仕事をしているなという感触も出始めていました。特にIRの能力が、全くの未経験から一周回ったことで緩やかに型化されてきたことを感じ、転職を決意しました。IRには、コミュニュケーションの側面と財務の側面があるのですが、その二軸を持つIRパーソンを目指していきたいなと思い、財務は未経験だったのですが、「大手の優秀なCFOの元でなら成長できるかな」との期待もありました。

SGHDでは、会計の知識を補ったり、株式アナリストと対話する機会を多く持つことができました。彼らはやはり視点も鋭く、投資家の代表的なビューを投げかけてくれます。上場したとはいえまだ小さな会社だった1社目では、IRとして株式アナリストとコミュニケーションをしたことがないというのが密かなコンプレックスだったのですが、SGHDでは当たり前のようにそういう機会に恵まれました。海外投資家にも多く会うこともでき、日本の投資家との考え方の違いを肌で感じ、「金融市場を包括的に見る経験」ができたと思います。

インタビュー風景

IRの本丸に挑みたい

──そこからアセンドに転職した経緯を教えてください。

「IRの先に何があるのかな」と追求すると、それはやっぱり「資金調達」だと思います。2社でIRを経験しましたが、2社とも株式による資金調達を必要としていませんでした。もちろん、投資家と良好な関係を築き情報を循環させるという意義はありますが、その先にあるものと考えると、個人投資家のお金を増やす、金融経済を大きくするという価値が主たるものになるのかなと。そうではなく、「株式での資金調達が必要な場所で、IRの本丸の仕事をしたいな」という気持ちが芽生え、大規模な資金調達を必要とするようなスタートアップへの転職を考えはじめました。

表面的には順調なキャリアのように見えるかもしれませんが、実は、社会人人生でどこか実力以上に評価されてしまっているような悩みもありました。性別や大学名で下駄を履かせてもらって、いいポジションに抜擢してもらっているところがあるのではないだろうかと感じ、そのギャップが広がっていくことに、漠然とした不安を感じる気持ちもありました。

そんな中、代表であり夫である日下から急にオフィスに呼び出され、全社員の前で「社員として入社しないか」とオファーを貰いました。アセンドは創業以来ずっと横目で見ていましたが、エクイティファイナンスの厳しさやそれを経て成長していく姿、本気で業界変革に挑戦していくみんなを近くで見ていたからこそ、正直、うらやましいなという気持ちをずっと持っていました。オファーを貰い、20秒で入社を決意しました。

入社後すぐのオンボーディングでのお客様との懇親会

──過去最速のオファー承諾スピードでしたね。今年は待望の資金調達という仕事も経験されたと思いますが、入社した仕事内容はどうでしょうか。

将来的にはIRの軸で専門性を伸ばしていきたいと思いつつ、現状のフェーズではIRの業務比重はまだ限定的なので、コーポレートを広範に見つつ、CSなどの業務を含め必要なところを拾っています。また、スタートアップのIRとは、上場企業のIRとは別物だということを痛感しました。どこのベンチャーキャピタリストも、特にアーリーステージということもあり「人のポテンシャルに多くをかける、すごい仕事だ……」とミーティングの度に感じました。1回1回の面談に「一球入魂!」という重みのある、すごい仕事だと尊敬しています。 

このフェーズのスタートアップの資金調達では、やはりCEOが出ていかないといけないため、IRとしてはオペレーションに徹して、良い対話をしてもらえることに集中していました。実は今回のファイナンスが佳境に入るタイミングと第二子の出産が重なっていたのですが、落ち着かずに出産翌日にはずっとslackを追いかけていました(笑)。

今回は、当社の成し遂げたいミッションに、長期目線且つ大きな金額で応援してくださるベンチャーキャピタルから出資を頂きたいと考えていましたが、「どんな条件でも」という考え方ではなく、社内で理想ライン・妥協ライン・撤退ラインとバリュエーションラインを引いて臨んでいました。第一希望のベンチャーキャピタルから、希望のバリュエーションでの返答があった時は、本当に嬉しかったです。

インタビュー風景

全てのステークホルダーから信頼されるビジネスパーソンに

──資金調達までのキャッシュコントロールは苦労も多かったと思います。その頃のことはどう振り返りますか?

そうですね……資金調達の話がまとまったのが9月なのですが、5月・6月は、「資金繰りをミスったら、会社終わるかも」と思う緊張感の中で仕事をしていました。一件一件の金額が大きいコンサルティング事業の入金関係は、「お願いだから予定通りに入金してくれ……!」と祈るような気持ちで見守っていたのですが、案件の開始時期がどんどん後ろ倒しになっていったこともあり、最後の方の資金繰りはパズルみたいな感じでした。

口座Aに入った金額を、即口座Bに移したり。融資返済の期日を守れなかったら、取り返しのつかない信用を会社が失ってしまうので、それが絶対起こらないよう、優先順位をつけて、何月何日までに、どこにいくらなくちゃいけないのかを常に考えていました。移動金額には1日の上限もあるので、経営企画のメンバーと二人で常にダブルチェックして、「大丈夫だよね」「問題ないはず」と声を掛け合って乗り切りました。

──これからはどんなプロフェッショナルになっていきたいですか。もしくはアセンドという場所を通して成し遂げたい仕事について教えてください。

自分の築きたいキャリア軸と会社が必要としている機能軸を掛け合わせて、将来的にはIRや財務の領域で活躍できる人間になりたいと思っています。そのために、今はコーポレートで幅広に業務経験を積み、CSで事業解像度を上げ、投資家を中心とした外部の「全てのステークホルダーから信頼されるビジネスパーソン」になる準備をしたいと思います。

IRとは、究極的には、投資家に対して、「私たちの株を買ってください。キャピタルゲインが得られますから」と真摯にプレゼンする役割だと思っています。そこに「いただいたお金で必ずや物流を起点に経済社会を前進させていきます。その世界を一緒に見ていただけませんか。」というコミュニケーションを付加し、当社のミッションに賛同いただけるよう、企業価値も、IRパーソンとしての価値も上げていきたいと思います。

自身の経験を軸としつつ、可能性の幅を広げより「成長」したい仲間を募集しています!

──最後に、これからアセンドに入社を検討頂く方に向けて一言お願いします!

スタートアップというと、これまでの経験を活かして即戦力になることを求められるイメージがありますが、実際は経験を円心にしながら広範な領域をカバーし、自己の成長と共に事業も前進させていくようなことが求められるケースが多いのではないかと思います。一見、キャリアの構築には遠回りに思えるかもしれませんが、長期で見ると、より成熟度の高いビジネスパーソンになれるのではないかと考えていますし、シリーズAを踏み出したアセンドにはそのような機会がたくさん存在しています。

活き活き働く仲間と切磋琢磨しながら、大きな意義のある社会課題に真摯に向き合い、自身の成長も積み重ねていく。いろいろなことを「前向き」に「楽しめる」マインドをお持ちの方、ぜひお待ちしております!


インタビュー・編集後記

今回は妻でありアセンドメンバーでもある日下美里のインタビューでした。
美里さんは広報/IR・財務/経理に法務といったコーポレート領域をほぼ一人でカバーしながら、シリーズAのファイナンスに際しては、投資家面談の準備や資金繰りのやり取りなど、痺れる局面も一緒に戦ってきた戦友です。
そんな美里さんの目標は、コミュニケーションと財務の二軸を武器に、「全てのステークホルダーから信頼されるビジネスパーソン」になることだと言います。
産業変革を目指す我々にとって、大規模な資金調達とそれを支えてくれる強い投資家は必要不可欠な存在です。美里さんが信頼されるビジネスパーソンとして成長していく歩みと、アセンドが多くの人から支えられ・信頼される会社へと成長していく歩みとが軌を一にしていく、そんな関係でいれたらと願っています。(了)

日下瑞貴