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人事制度をブラッシュアップ!会社の価値観を落とし込んだ「三大制度」で、更なる企業力強化へ

福島県会津若松市にある、創業72年の會津通運株式会社。福島県内に2営業所を構え、トラック輸送、JR コンテナ輸送、倉 庫業など広範囲の物流事業を手がけています。昨年から、経営 DX・業務効率化の IT ツールである「ロジックス」の導入だけでなく、 人事制度の刷新にも着手。半年間にわたる時間の中で、大切にしたい価値観を反映した人事制度ポリシーの明文化や、各種制度への落とし込みを実施。2024年問題を前に、なぜ今人事制度を刷新しようと考えたのか。アセンド社の人事制度設計コンサルティングを受けられての感想を、社長の渡邉様、取締役の五十嵐様に伺いました。

会社の特徴(2022年インタビュー時)
社員数83名 / 保有車両76台 / 県内に2営業所 
・事業概要:
トラック輸送(生鮮食品、給食、建築資材等)・JRコンテナ輸送・倉庫業

プロジェクトのスコープと概要

会社は人ありき。努力が報われ、成長できる会社にしたい

──早速ですが、人事コンサルティングを受けてみようと思った背景を教えてください。

渡邉社長(以下、敬称略):
人事制度は、創業70年の歴史の中で何度か更新をしてきていました。震災の以前は歩合給でしたが、コンプラ遵守が厳しくなる機運のなか、残業代を反映できる時給制へと変更。しかし、今回の人事プロジェクト以前の制度は、従業員が運転する車の車格(中型・大型等)によって給与が決まるという側面が強く、経験に応じて給与が上がる仕組みではありませんでした。それだと、経験が浅くても免許さえ持っていれば同じ報酬水準になってしまうので、頑張った人、会社に高く貢献してくれた人を報える制度とも言えません。それでは退職者を防いだり、人の定着率を増やしたりすることができないと感じ、人事制度を刷新し、それぞれが自分のキャリアパスを描いたり、将来設計ができるような仕組みにしたいと考えました。

会社は人ありきです。今の會津通運は売上一億円増を目標に掲げているのですが、それを達成するためには、社員の意欲を引き出すことと、経営人材の育成が必須です。

ここ数年間、社内での人事制度のアップデートを試みたのですが、なかなか前進せず、思い切って外部の意見を取り入れてみようと思い、コンサルティングを受けることにしたんです。社員が一生懸命やってくれないと、会社は成長しません。多少コストがかかっても、社員が成長できるならぜひと考えました。

渡邉様・五十嵐様

コンサルタントが入ったことで、格段にプロジェクトが進めやすく

──社内での制度構築には、どんな難しさがあったのでしょうか?

渡邉:
社員に納得感のあるものにしたいという想いが先走り、「想い」よりも、整合性があるかないかを重視してしまっていたというところかと思います。でも、コンサルティングを受けるなかで、アセンドの日下さんに、「社員に想いをぶつけていますか?」と問われて、「いや、俺、全然言ってないな」と感じたことは、一つの大きな気づきでした。人事制度は想いや経営者としてのメッセージを伝えるツールで、それを制度に落とし込むことが大切なんだと。思っていながらも言葉になっていない価値観を言語化していくのは手間がかかる作業ですが、「そこの言語化をしっかりお手伝いします」と言ってくれたのが頼もしかったです。

実際に、これまで半年ほど、月2回のペースでミーティングを重ねてきたのですが、もっとも時間をかけたパートは大切にしたいものの言語化で、そこに2ヶ月ほどを使ってもらいました。回数を重ねる中で、会社として「長期的な利益の追求」を目指すほか、「安全や会社使命を果たすこと」も重要と再認識ができました。また、「いちドライバーとして働いている」というだけではなく、「會津通運で働いていることに誇りを持ってもらうこと」を願っていることもです。

會津通運の車両

──五十嵐様は、外部のコンサルタントが加わって、いかがでしたでしょうか?

五十嵐:
客観的な目線での指摘をいただけるところが、とても有意義
でした。自分たちだと、自分たちの考えしか見えないのですが、第三者が入ると、そこに冷静に入ってくれますし、色々と引き出してくれるので。そういうのって必要だなと痛感しました。進め方でも、順を追って進めることがうまくて。自分たちで主導権を持ちつつも、うまく相手の掌の上で転がっているような感覚がありました(笑)。また、日頃からアセンド社が提供しているITツールであるロジックスの導入支援もしていただいているという関係性もあり、コンサルタントの方と気心がしれた距離感でプロジェクトを進められたのも、とてもやりやすかったです。いろんなことを、率直に言いやすくて。

「社員の器」を育て、経営人材の育成を加速する人事制度へ

──新しい人事制度の大きな特徴は、どんなところにあると感じられていますか?

五十嵐:
会社として、社員の器を育てていく準備が整ったというところかなと思います。今回のプロジェクトを経て、これまでは、「人」を評価できていなかったのではないか、とつくづく思いました。真面目な社員は、「これもできないといけない」「こうでなければいけない」と、プラスアルファの部分を自分に求めるのですが、その目線が横にしか見えてなくて、「上」を見せていられなかった。今回は「縦の能力」をどう育てていくか、そういう部分も、等級制度の定義や要件にも反映できたのではないかと感じています。

また、田舎の方だからそうなのかもしれませんが、出世したいとか、人と競うことを大々的にするというのはなかなか難しいものです。でも、「なんとなく、何年やったから」ではなく、自分が何を目指せばいいのか、マイルストーンとして社員にわかりやすく示せるようなったのではないかと思っています。

渡邉:
自分たちだけで考えていた時は、「整合性」にフォーカスしてしまい、今回はもっと想いを自由に制度に載せるという感覚で進められました。注文住宅を注文しているような感覚でした。

ミーティング中の風景

──プロジェクトのなかで、大変だったところはどこでしょうか?

渡邉:
やはり、どう落とし込むかというところでしょうか。たとえば、車格以外のドライバーの技術の差としては、「急遽の増便にどれくらい積極的・柔軟的に対応してくれるかどうか」「技術の幅広さ」の2つがあるのですが、うちは地場の定期便が中心で、個人間の力量差が大きく出る環境とは言いづらく、評価に差をつけることが難しい事業環境にありました。しかし、會津通運としては、長期目線を持って、意欲的にドライバーに働いてほしいという想いがある。とはいえ最低賃金も年々上昇していることや、利益が高い業界ではないこともあり、ドライバーの給与の間に階層を作ることも簡単ではない。そんな制約のなかでも、納得のいく人事考課がなされ、頑張ってる人が報われる制度を作るために、議論を重ね、多角的な評価を盛り込むことができたと考えています。納得ができるものになるまでに、2度3度、見直して、丁寧にすり合わせができたこともありがたかったです。

社内からも期待以上の反応が

──人事制度の見直しは主に渡邉社長、五十嵐様と進めてきましたが、制度の概要が整ったところで、管理職の方への説明も一緒に行わせていただきました。その際の反応はいかがでしたでしょうか。

五十嵐:
人事制度の見直しを前向きに捉えているようでした。これまでの人事制度では、彼らも評価者として、評価を受ける側に対してなぜこのような評点なのか十分に説明しきれていないという感覚があったのだと思います。

渡辺社長:
人事制度の大々的な運用はこれからなのですが、先日、等級制度の昇格の要件の箇所にあくまで目安として記載しておいた資格要件を見た社員が、早速「この資格取らなくちゃ」などと言っているのを聞き、反応の大きさにに驚いています。そんなに反応してくれるのかと。人事制度は作って終わりではありません。ここからやっと始まるんだなと思うと身が引き締まります。社員をしっかりと巻込んで、真の経営改革に繋げていきたいと考えています。

(取材・文 / 上原里菜)


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