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買収した子会社をシステム刷新の試金石に。「これは使える」確信を得て、本社の業務変革へ

東京・江東区にある創業約50年の東京運送株式会社。同じ燃料油を運ぶ北海道の石油輸送株式会社にM&Aされたことをきっかけに、それまで全て手書き・手計算だったアナログ業務の改革に踏み切りました。導入したのは、石油輸送での活用が検討されていたアセンド社のロジックス。東京運送・石油輸送両社の業務を統括する松澤様、東京運送の現場担当の榎本様にお話を伺いました。



東京輸送の特徴

  • 社員数14名、1営業所

  • 保有車両:大型ローリー車、トラック

  • 業態:潤滑油タンク・ローリー


M&A先の子会社で、まずは実験的なトライアルを

──早速ですが、弊社や弊社製品であるロジックスを知ったきっかけを教えてください。

松澤様(以下、敬称略):私の上司の友人からアセンドを教えてもらったことがきっかけでした。当初は、北海道に本社のある石油輸送株式会社に導入したいと考えたのですが、最初からそこに当ててみるというのはややハードルが高かったので、東京運送でまずは小さく試してみようと考えました。東京運送は、その頃石油輸送がM&Aをした会社でして、私は石油輸送の役員でもあるんですが、月の半分ほどは東京に居て、東京運送の業務全般を見ています。M&A後に業態やコストの見直しのほか、業務システムの入れ替えも検討していたところで、色々とタイミングも合っていたんです。

インタビュー中の松澤様

──なぜ東京運送のほうが、トライアルをしやすいと思われたのでしょうか?

松澤:会社の規模も違いますが、まず荷主が少ないというのが好条件でした。それに、車両や人の規模も小さいので、何においても複雑性も低くすみます。石油輸送だと、運賃計算するにも情報量が多すぎて、必ず差額が出たり、何円か合わなかったりする現状のなか、一気にシステムの乗せ換えをするのは現実的ではないと思いました。

──東京運送での業務改革は、どんなことから始まったのでしょうか?

松澤:その頃は手書きと電卓で業務を回していて、手計算と転記を繰り返すことの連続だったので、まずはエクセルを導入するところから始めました。唯一入っていた10年以上使っていたというシステムはリース契約だったのですが、メンテナンス費用もかさむ上に、カスタマイズ性や拡張性がまるでなく、請求書を発行するためだけに活用しているような状態だったので、不要と判断をしました。ロジックスは安いというわけではありませんが、情報の入力だけで午前中が終わっていたのが、段違いに速くなり、従業員の業務時間の使い方が大きく変わってくるので、価値があると考えています。東京運送の現場担当の榎本は非常に柔軟で、新しい業務への順応が速いということも後押し材料でした。

3人がかりの業務が一人で可能に

──現場担当の榎本様は、M&A後、どんな体感でしたでしょうか。

榎本様(以下、敬称略):アナログだった業務がみるみるうちにデジタルに変わっていくのを感じました。以前は手書きだったので、とにかく間違えることが多かったんです。写す段階で間違えたり、計算していて間違えたりと、ミスにつながるポイントが多く、しかも、どこで間違っているかを探すのが難しかったんです。でも、私の業務は電卓からエクセルへ、そしてエクセルからクラウドシステム(ロジックス)へと本当に変わっていき、貴重な体験をすることができました。

当初は旧システムとロジックスを二重で使いながらの移行だったのですが、断然こっちの方がいいなと思い、すぐに一本化をしました。旧システムだと、同じことを何十回と打たなくちゃいけなかったのですが、ロジックスは、シングルインプット・マルチアウトプットという特性で、一度入力した情報をどんどん柔軟に形を変えて使っていけるので、様々な帳票を経て、最後に「確定」がなされるまでの流れが全く違うんです。運送会社の管理業務は煩雑で、以前は、車両ごと・運転手ごと・運賃ごとのエクセルがあったのですが、ロジックスが一元的なデータベースかつ、情報の基盤化となったことでそれらを帳票を行き来する必要がなくなり、非常に楽になりました。

実務担当者の榎本様

松澤:榎本には良い意味でもっと「自分が楽をしたい」と思ってほしいんです。手間のかかるやり方で個人の技量で業務をなんとかさばき、その結果ひとりで仕事を抱え込んでしまっているのは、会社にとってはリスクであるし、あまりいい状態ではありません。業務担当の榎本に余力ができて、仕事の質・中身が変わるというのが理想的だなと思います。

ちなみにロジックスの活用を始めてから、年齢的なこともあって80歳と67歳の事務員の退職があったのですが、2名が減っても変わらず現場が回せるほどの余裕が生まれました

使い勝手の良さや、開発への信頼から、石油輸送への導入を決意

──東京運送への導入をクリアしたということで、次はいよいよ石油輸送へということですが。

松澤:そうですね。東京運送で確かな手応えを感じられたので、満を辞しての石油輸送でのトライアルになりますね。ハードルは色々あると思いますが、期待もしているので楽しみです。

──石油輸送ではどのように現場が変わっていくイメージをお持ちですか?

松澤:現状は、配車と、実績の入力という事務方の確定業務に手間がかかってる状態ですが、ロジックスの導入後は極端に誰か1人の仕事が減るというよりも、関係者の仕事がそれぞれ7割くらいの時間でできるようになるイメージをしています。会社を成長させていくには、人に投資するか、システムに投資するかだと思っていますが、システムに投資する方が複利で効いてくる。東京運送で榎本を見ていても、仕事のスピードと仕上がりが違います。プレゼンを受けても、やってみないと信用できないのがシステム導入の難しいところですが、東京運送の導入状況を見て、これなら石油輸送でもいけるのではないかと考えるようになりました。

荷主の予算事情とあるべき経営をすり合わせながら、運賃交渉を実施

──2024年問題が迫っていますが、影響はいかがでしょうか。

松澤:東京運送に関しては、クリアしやすい業務環境なので問題ないですね。石油輸送(北海道)では、夏場と冬場では灯油の需要が段違いなため、その影響で冬は事務処理量がかさんでなかなか厳しいかもしれませんが、動かすものが多くなっても、ロジックスを導入して事務的な工程が楽になれば、なんとかなるのではないかと思います。人手問題に関しては先手を打てたところがあり、うちはドライバー不足という問題がないので言えることかもしれませんが。

──人手不足問題には、どう対応をされて来られたのでしょうか?

数年前に北海道でコロナが流行した時に、まずバス事業の廃業が増えたんです。そうするとバス運転手さんが再就職する先を探して、トラック業界に流入して。その頃ちょうど今の社長がドライバーの給与水準をUPさせてくれたため、今は給与水準を競合他社より高くできているので、人が集まりやすくなっています。

(東京運送の事務所に飾られる多くの表彰状)

──給与水準を高く保つ秘訣として、運賃交渉などはされているのでしょうか?

松澤:もちろんです。元請けの方も提案にいらっしゃいますので、その時にご相談をしたりもしています。また、荷主には荷主の事業計画があるので、それに合わせた動きをします。石油輸送はエネルギー関連の大手が主たるお客様ですが、そういう会社は来年の年間の運賃が一度に決まるので、かなり前倒しでの交渉にはなります。

先方の反応ですか?この時代だと、そこにNOというと、逆に問題が起きますので、「わかりました、一度温めさせてください」と言われることがほとんどです。そこで、頭ごなしにそんなものという荷主とは、お付き合いをしない方がよいと思います。

──具体的な、交渉の方法についても教えていただけますか?

松澤:サーチャージを載せている運送会社というのは少数派なように思えますが、私はサーチャージを請求するのが明瞭で良いと思っており、弊社は2022年の12月から、そういったご相談をはじめました。まずはそうご相談をすると、会社によっては、「では代わりに運賃をあげさせてくれ」と仰る会社もあるのですね。変動の読めないサーチャージ分を引き受けるということのは、荷主視点では物流費の見積もりが難しくなることでもあるためです。燃料費の高騰する社会的背景を考慮して、それでもサーチャージを載せさせてもらうのか、あるいは固定的な運賃自体を変えるのか。結果として、どちらの方が荷主の負担の物流費が高くなるか?という相手の立場にも立ちながら、石油輸送では、ケースバイケースで合意をしています。私としてはサーチャージに統一させていただきたいのが本音ではありますが、荷主視点で考えると、その年度の物流費の予算を取りに行くときに、「運賃自体をあげる代わりに、サーチャージは計上しない」という方針の方がしやすい決定であるという感覚も理解できるので。正当性、計算しやすさ、考えやすさ。そういうものを総合的に考えて、運賃交渉はしています。

ただ、石油はライフライン的な位置付けがあり、かつ危険物なので、ある程度優遇はされる性質であると理解しています。石油輸送の場合、エネルギーの大手が交渉の相手になるので、しっかりとした会社が多く、こちらもきちんとしたことをすれば、しかるべき対応をしてもらえるというのは恵まれた点であるのかもしれません。そういう背景もあり、ここ5年間は、何らかの形でずっと運賃を上げ続けてもらっています。

──様々な工夫と相手の予定や事情を鑑みた動きが必要なのですね。東京運送では取引先の荷主が一社という状況と伺いましたが、そういう状況下でも、交渉をされているのでしょうか?

もちろんです。利益がでなくて給料が安かったら、ドライバーがかわいそうなので。そのために、たとえ一荷主でも果敢に交渉はすべきだと思いますし、しています。

ロジックスは中小運送会社の強い味方に

──ロジックスでもっとも評価していただけている点は、どのあたりになりますでしょうか?

やはり、柔軟性と対応力でしょうか。先ほどお話したサーチャージの計算も手間がかかるのですが、その計算も、ロジックス上だと大変しやすいです。こちらは、実は契約締結時には想定していなかった使い方なのですが、現場のニーズを鑑みて、積極的に機能開発をしていただけました。ロジックスは、他のリース型や買い切りの商品であればできないようなアップデートを期待できて、クラウドであるという点が何よりもいいと思いますね。今あるベースに、さらにここからも発展を期待できる点が魅力です。

運送業界は古いシステムの会社が多く、石油輸送にしても、基幹システム自体は10年前のものを使っており、データが膨大に溜まりすぎて、年々動きが遅くなる状況です。しかし、自社だけでゼロからシステムを作るのには、莫大な予算が必要で、中小の運送会社には到底手が出せません。ロジックスは、中小の運送会社が多い運送業界の底上げにつながるような製品であると思っています。